生活習慣病で薬を飲む男

日本人の間では生活習慣病が増加してきた理由は何でしょうか?

原因の1つには食生活が欧米化と言われています。
お茶の代わりにジュースなども多く飲むようになってきました。

はたして、お茶を飲まなくなることで、病気になる確率は高くなるのでしょうか?

1 高血圧症予防と緑茶

日本では約3000万人の人が高血圧症に悩まされているといいます。

人の血圧の正常値は最大血圧100~130、最小血圧50~90とされていますが、高血圧とは血圧が以上に高い状態を指し、世界保健機関(WHO)によれば安静時に最大血圧140以上、最小血圧90以上が持続する場合に高血圧症と診断されます。

高血圧症の9割以上が原因の特定できない「本態性高血圧症」と言われており、自覚症状がなく、直接の死因となることが少ないため、治療を受けている人は30%程度と言われています。

しかし高血圧を放置しておくと、動脈硬化を起こして脳卒中や心臓病、腎臓病などの合併症を起こしやすくなります。
そのため高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれる病気なのです。

高血圧症の治療は、程度などを考慮して生活習慣の改善が行われます。
それでも血圧が降下しない場合は薬物療法が併用されます。

アンジオテンシン(ACE)は血管を収縮させて血圧を上げる物質ですが、緑茶に含まれるカテキンやγーアミノ酪酸はこのACE活性を阻害して、血圧の降下および安定に効果を示すことがさまざまな研究からわかっています。

なかでも緑茶カテキンの50~60%を占め、その含有量が最も多いEGCやECGといったガレート基を持つカテキンが効能を強く示すことが試験からわかっています。
動物実験でも過度の血圧上昇が抑制されることが判明しています。

一般的に一杯の緑茶にはカテキンが60~80グラム含まれていることから、血圧の降下を期待するために緑茶を飲む場合には一日に5~10杯程度飲むと良いと考えられます。

2 動脈硬化予防と緑茶

「人は血管から老いる」と言われています。
血管の健康が私たちの健康を左右しているのです。
動脈の血管は圧力の高い血流を受けるために弾力性を持っています。
しかし、血管の内膜が傷つき、傷を修復するための血小板の凝集反応や防御反応が繰り返し起こると徐々に動脈が硬くなっていきます。
これが動脈硬化の始まりです。
動脈硬化により内壁が厚くなると血液の流れが悪くなり、脳や心臓などのいろいろな臓器の働きが悪くなります。

一般にコレステロールが多いと動脈硬化の原因となりますが、少なすぎてもいけません。
健常者の血液中には120~200mg/dlのコレステロールが含まれており、220mg/dlを超えると冠動脈疾患の発症が増加すると言われています。
また、コレステロールが少なすぎると血管の壁がもろくなり破れやすくなります。

悪玉コレステロールとよばれるLDLコレステロールが、活性酸素によって酸化すると動脈硬化が起こりやすいことが知られています。
ということはLDLコレステロール量を減らし、その酸化を防ぐことが動脈硬化の予防につながります。

緑茶のカテキンやテアフラビン類などの茶ポリフェノールには、活性酸素の働きを阻害してLDLの酸化を抑制し、また血小板の凝集作用を抑制する働きがあることから動脈硬化の発症抑制に効果があることが明らかになっています。

健常男子を二グループに分け、300グラムの緑茶の抽出物を一日二回、一週間摂取させます。
摂取したグループでは摂取しないグループに比べてLDLコレステロールの酸化時間が長くなり、酸化されにくくなったことが報告されています。
また高すぎるコレステロール値を正常に戻すだけでなく、善玉コレステロールには変化が無く、悪玉コレステロールだけを減らすという働きがあることもわかっています。

3 肥満防止と緑茶

食生活の欧米化や飽食化によって日本人の動物性脂肪摂取量は40年前の約3倍になったといわれています。
その結果、成人の七人に一人が肥満状態にあると言われています。
また、外見は普通なのに体脂肪がとても多い「かくれ肥満」と呼ばれるひとも近年急増しています。
体脂肪はエネルギーの倉庫、保湿・断熱効果、クッションとしてなど生きていくために体になくてはならないものですので、少なければ良いというわけではありません。
ですから、肥満防止とは一概に体重を維持することではなく、体脂肪の量をコントロールすることなのです。

カフェインには腎臓を刺激して血管を拡張させて利尿作用をもたらす効果があります。
そのためにカフェインを含む緑茶を飲むとトイレに行く回数が多くなり、結果体重が減少します。
単純にこの利尿作用による水分の減少を痩身効果と捉えがちですが、減ったのはあくまでも水分であり脂肪ではありません。
しかしカフェインには脂肪代謝を促進するという素晴らしい働きがあるのです。

カフェインには体内の余分な脂肪を燃やす褐色脂肪細胞の働きを活発にして体内の脂肪を優先的に分解し、エネルギーに変える働きがあります。
カフェインによって分解され、血液中に放出された脂肪は運動することによって体外にエネルギーとして放出されます。
そのため、緑茶を飲んでから運動すると効率よく脂肪が燃焼され、痩身効果が期待できるのです。

さらにカフェイン以外の成分としてカテキンとサポニンにも脂肪の吸収を抑制する働きがあることがわかっており、その成分の相互作用によって肥満防止が促進されると考えられるのです。

4 糖尿病予防と緑茶

糖尿病は、加齢のほか日常の生活習慣が誘因となって発病するために生活習慣病と呼ばれています。
糖尿病の患者数は年々増えており、潜在的な人も含めると国民の一割以上が該当すると言われています。しかしここでも緑茶が効能を発揮します。

緑茶のカテキンには、糖が消化管から取り込まれるのを抑え、腸での脂肪吸収を妨げて脂肪を体外に排出する働きがあります。
具体的には、消化管にとどまったカテキンが、αーアミラーゼやシュクラーゼといった糖分を分解する働きのある酵素を阻害して糖を吸収させずに体外へと排出させるのです。

当然、糖が吸収されにくければ血糖値は下がります。
なお、人間には血糖濃度一定に保とうとする働きがあるので、カテキンによって血糖値が下がり過ぎることはありません。

このほかにもアミラーゼとデンプンの溶液にカテキンを加えるとブドウ糖の量が減ることが証明されています。
これはデンプンをブドウ糖に分解する酵素の働きをカテキンが抑えるためで、糖尿病の治療法の一つとして効果があると考えられています。

さらに緑茶カテキンは、油脂を分解するリパーゼやタンパク質を分解するトリプトシンなどの酵素に対しては阻害作用を示さず、糖分を分解する酵素に対してのみ阻害活性を示すことが明らかになっています。
とくに糖尿病の治療には食事療法が欠かせないため、緑茶をうまく取り入れていくと効果的といえます。

5 まとめ

このように緑茶は大きな副作用なく健康に効果があると言えます。

また、これらのほかにも風邪防止、虫歯予防、ガン予防、アレルギー予防などの効果があるとされており、緑茶は日常の健康維持には欠かせない飲み物といってもよいでしょう。